ドライアイは、涙液量の減少や涙の性質変化などの様々な要因によって起きます。「目が乾く」という感じが一般的に言われますが、実際にはドライアイの症状は様々でとても複雑です。
涙の分泌量が少なく涙が足りない状態、涙の蒸発が早く目が乾く、涙の質(安定性)が悪いなど、これらの要因によって角膜や結膜の表面が肌荒れのような状態となり、不快感や乾燥感・疲れなどの症状があらわれ、視機能にも異常をきたします。
ドライアイは、症状があるのにそのまま放置して慢性化すると、最悪の場合視力が低下したまま戻らなかったり、失明を招いたりする病気に繋がる場合があり、油断の出来ない病気です。
ご自身では気付きづらく、「眼が疲れた」「ボーっとする」などちょっとした症状ですが、そのままにしておくと他の病気に繋がることもありますので、「ちょっと目が疲れているだけ」と自己判断せずに、まずは眼科を受診されることをお勧め致します。
以下の症状を感じたことはありませんか?
長期にわたり当てはまるものがひとつでもあればドライアイの疑いがあります。
眼の表面を保護するための点眼(ヒアルロン酸入りの点眼薬など)の他、最近では「涙点プラグ挿入術」という治療方法が保険適応となり、一般的になりつつあります。これは、涙の排出口となる目頭部分の涙点という場所を、小さなシリコーン製の栓でふさぎ、涙点をふさぐことで涙を貯めることができます。
点眼薬には涙と同じ成分は含まれていないため、自分の涙を貯めることで改善がみられ、涙が減少しているタイプのドライアイに有効です。また、涙の安定性がわるい場合でも、この涙点プラグによって涙点をふさぎ一時的に涙を貯めることで、涙の安定性が改善されることもあります。
ドライアイの治療に使われるおもな点眼液には、次の3種類があります。
市販の目薬や洗浄液にはスーッとして爽快感を感じる成分や保存のための防腐剤が含まれているため、かえって目を傷めることがあります。また、カップ型の洗浄液で目を洗うと、目の周りについている汚れが逆に目の中に入り、かえって汚れを目の中に入れることになります。
ドライアイの患者様は、市販の目薬を使用せず、眼科で処方される防腐剤や刺激物の含まれていない点眼薬を使用し、人工涙液で目の表面を洗い流すような洗眼をする方法が適切です。
点眼薬であまり効果がでない場合には、涙点プラグ(シリコンや合成樹脂製)によって涙点をふさぎ、涙の流出を抑えて涙を目の表面に十分にためる涙点閉鎖による治療を行います。
涙点プラグには、シャンパンの栓のような形をした固形のハードタイプ(シリコーン製プラグを、涙点に装着する方法)と、ソフトタイプ(液状のコラーゲンプラグを注入する方法)の、二種類があります。どちらの涙点プラグも保険適応となっており、痛みはなく短時間で施術できます。また、施術後からすぐに涙が溜まりだし、症状が改善されるため、ドライアイの効果的な治療方法となっています。